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ロシア料理視察ツアー

 日本におけるロシア料理店の老舗「渋谷ロゴスキー」の顔として知られた長屋晃氏が2020年1月下旬に吐血、杏林病院で2月24日に眠るようにしてこの世を旅立たれました。
 数年前に癌を克服された長屋さんはかつての旅仲間でもあるロシア料理研究家や写真家たちと共に年に2,3度気の置けない集いを持ち、半年先に90歳を迎えられるそのお祝いをしましょうと私たちも楽しみにしていた矢先でもありました。
 ご遺族にとっては、山となった名刺や写真の整理をつけることも出来ず、新型コロナウィルス騒動での自粛政策の中、納骨も役所とのやり取りもままならず、弔意を申し出る方々には丁寧にお断りをせざるを得ない状況とのことです。
 2015年渋谷の再開発により「ロゴスキー」は銀座に移転しましたが、2021年には開店70周年を迎える歴史の中で、私にとっては半世紀も前(1970年)の20歳の誕生日を祝ってくれた大学の先輩がロシア料理とはどのようなものかを教えてくれた場所が「ロゴスキー」でした。以来、旅行会社での旅の説明会に利用させてもらったり、また結婚披露宴を催すなどの思い出の店でもあります。
 1979年初夏、長屋晃氏が事務局長として、そして団長に「スンガリー」の加藤幸四郎氏、副団長に晃氏のお母様であり「ロゴスキー」創設と共に料理長として著書もある長屋美代さん、京都「キエフ」、札幌「アンナ」、福岡「ツンドラ」の経営者を始め40名近くの参加者により3週間に亘ってシベリア、中央アジア、ラトヴィア、ウクライナ、モルダヴィア、そしてモスクワ周辺部を巡る「日本ロシア料理店協会ソ連視察の旅」の添乗を私が務めたのでした。
当時の参加者との親交は時を隔てて更に深まり、長屋晃氏を囲み、時に神保町「ロシア亭」、或いは高田馬場「チャイカ」、上野「マトリョーシカ」、大森「ロマーシカ」、吉祥寺「カフェ・ロシア」、新宿三丁目「スンガリー新館」、本郷「海燕」、浅草「ラルース」、そして、旅仲間が講師をするNHKカルチャー宇都宮教室での「ロシア料理」の2019年秋のイベントが長屋晃氏との語らいの最後となってしまいました。
長屋美代さんは軍人であったご主人からハルビンのレストラン「ロゴジンスキー」などで覚えたロシア料理の味を耳で聞きながらその調理を試みたのでしたが、1979年にご一緒したロシアでの視察ツアーの時に、本場の味を日本でもしっかり再現出来ていたという確信の言葉をおっしゃっていたことが深く心に残っています。その調理法を宇都宮で今に伝える活動を続けている方が、ツアーでの視察内容を克明に新聞記事に残し、時代の変化の中でもはや消滅してしまい伝説と化した「スラヴャンスキィ・バザール」、「ツェントラーリナヤ」、「アラグヴィ」「ミーンスク」、「バクー」等のモスクワの視察先が思い出されます。ソ連での各レストランは日本からの専門家集団がやってくるということでコースごとの料理を何種類もサービス、参加者は写真を撮り一口味わってはメモを取り質疑応答に余念がなかったのですが、私は次々出てくる料理を幾皿も全てきれいに食べ、ツアー終了時には5キロも体重が増えてしまったことが旅の成果でした。

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