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ロシア医療事情

旅行指南書を読むと、欧米の医療機関は診療費、治療費が高額なので海外旅行保険に加入すべきと書いてある。ロシアの医療機関はどうであろか? 医療事情は悪いのだろうか? 
外務省の案内にはロシアの医療の実情として次の通り記載してある。 「かつては旧態依然とした公立の医療機関しかなかったロシアですが,モスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市では,立派な私立病院が存在します。CT・MRIなど検査機器や手術ロボットなどが導入され,医薬品・医療衛生材料も輸入品が普通に使われるなど,施設・設備については日本の基幹病院に劣りません。中には日本人医師やロシア人日本語通訳が働いている私立病院もあります。公立の病院も改善が進んでいますが,職員がロシア語しか解さず外国人には受診手続きが煩雑で慣れた方でないと利用はなかなか難しいことから,日本人は外国人向けの私立病院を私費診療で利用することが一般的です。」
 つまり、大都市に行くのであれば、治療費は高額だが、海外旅行保険に入って私立病院に行けばよい。しかし大都市以外では、公立病院に行く。ということになる。
ウラジオストクの医療事情として外務省の案内に次のような記述がある。 「公立医療機関は,極東連邦大学メディカルセンターといった新しい病院も一部ありますが,多くの病院は建物の老朽化が目立ち,見た目にも病院らしく見えません。また,受診にはロシア語能力が必要です。私立の医療機関は,公的病院に比べると比較的新しくてきれいなところが多いですが,外来診療だけを行っているところがほとんどで,重症の場合には必然的に公立医療機関で入院治療を受けることになります。いずれにしても,日本人にとって当地で満足がいく診察・治療を受けることは難しく,緊急の場合を除いて,日本での診察・治療を強くお勧めします。」
 外務省の医務官は、ロシアの公立病院に良い思い出がないのだろうか。建物の老朽化と医療技術は別物と思うのだが。そもそも欧州同様、建物を100年以上利用する文化がある。
 実際に何度かロシアの公立病院に入院したことがあるので意見を述べてみたい。
 まず日本とは明らかに医療文化が違う。私が入院した病院の例で全てではないが、看護師さんは日本のように優しくない。しかし厳しく指導してくれる。入院病室に上着を着たまま入ると厳しく注意を受けたことがある。雑菌を病室に入れないためで、面会者にマスクやキャップを義務づける病院もある。日本は、その点多少汚い恰好をしていても自由に面会できる。建物は老朽化していても、シーツなどは清潔で、医療器具はなんとなく古めかしいものの、エコーやCTなど普通に使える。外国人相手だったせいもあるが医師は人の話はしっかり聞かず、症状を見てテキパキと診断する印象だった。口は達者で曖昧さがなく、診断力はある。しかし異国の地で観光客が、老朽化した病室、あまり優しくない看護師さん、不明瞭な料金、言葉がわからない、病名が不明という状況になるのは大きなストレスであろう。
 ロシアでは医師の数が日本より圧倒的に多い。日本医師会によって医師の数を制限している日本と違い、かつての共産主義国は医師の数が多い。救急車にも医師が乗っており、医師の判断を仰がなければならない日本の救急車と比べて対応が迅速だ。市内には24時間営業の薬局が無数にあり,一般薬やサプリメント,湿布,手指消毒液,虫除け,絆創膏,サポーターだけでなく,処方薬の殆ども医師の処方箋無しで購入出来る。つまり、夜中に急病になっても、薬局に行き、薬剤師と相談し、迅速に必要な薬を手に入れることができる。重病と感じたら医師の乗った救急車を呼ぶことができるのだ。
 日本の救急病院では、どうだろう。死にそうな患者以外は順番待ちの待合室に通される。夜中は当番医で専門でないことが多く、応急処置をされて、翌日外来を受診するよう促されることも多いのではないか。持病の片頭痛薬が切れて激痛の中、救急受診しても、簡単には薬は手に入らない。クモ膜下出血など万一のことを考えて延々と検査された後、専門医の許可を得てからでないと処方してもらえない。ロシアでは24時間薬局で購入できる。
 ロシアには日本のような素晴らしい健康保険制度はない。診療代は医師、病院が決めることができるのだ。したがってクリニックに行くと、料金表が掲示されていることが多い。見当たらない場合もある。知らないで行くと虫歯1本の治療に10万円請求される歯科もある。従って一般的ロシア人は口コミ、評判に基づいて病院を選ぶのだ。料金、待ち時間、医師の技術など仕事の同僚や、近所の井戸端会議から情報を収集する。
 ロシアと日本の両方の医大を卒業した日本人医師に、ロシア医師のレベルについて質問したことがある。「人による。その人次第」という答えが返ってきた。医師免許を取得後も貪欲に最新技術を勉強し、関係の深いドイツなどで学び、高額な医療費をとるクリニックを開業する医師もいれば、公的機関の保険医など簡単な診察しかしない医師もいる。これは日本も同様だろう。
 結論としては、ロシアの公立病院は決して悪くない。地方都市であったとしても急病の外国人ということであれば順番を早くして診てもらえるし、言葉がわからなくても医師は聾唖者の対応方法を知っているので、検査と症状で判断する。スマートフォンがあれば、日本語通訳とも話ができる。総じて欧米ほど医療費は高くない。病気の内容にもよるが、保険に入っていなくても公立病院なら日本とさほど変わらない治療費の病院を見つけられるだろう。しかし薬だけは日本の保険診療のようには安くならない。大都市であれば設備の整った私立病院がある。眼科などは日本よりレベルが高い。ただし私立病院の設備は最新でも名医がいるとは限らないと思う。
 気をつけたいのは、薬害問題があった日本のように慎重でないため、自己責任にされることがある。ロシアで売られている医薬品は日本のものより薬効成分の含有量が多いものが存在しており,人によっては効果や副作用が強く出ることがある。 持病がある人は、必ず伝えるようにするか、英語で持病名を書いたメモを旅先に持って行くことが必要だろう。 

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