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日本に最も近いロシアの世界遺産‐ビキン川渓谷

日本では明治維新を迎える前夜の150年程前、清が弱体化している時に、アムール川の南と北で、そしてその支流であるウスリー川の西と東で中国とロシアの国境線が引かれました。国境近くにロシア極東の拠点としてハバロフスクとウラジヴォストークが建設されたのもその時期に合わせてでした。
 アムール川とウスリー川が合流するハバロフスクの町からバイカル・アムール道路を南下すること250キロ、舗装が途切れる手前に架かる大橋、自然の恵みを受け東のシホテ・アリニ山脈より西のウスリー川に向けての240kmを滔々と流れゆくビキン川を渡る貴重な橋が世界自然遺産に足を踏み入れる入口です。
 2015年9月私たちがビキン川に辿り着くや、クマの親子が中州より川を横切る姿を目撃し、いよいよロシアの大自然の只中に入り込む実感を持ったものでした。
 南北に流れるウスリー川と日本海とに挟まれた沿海地方、そこは知られざる自然界の宝庫が広がっています。シホテ・アリニ山脈一帯、そしてその山脈を源流とするビキン川周辺は、針葉樹林タイガと氷河期以前の姿を残す広葉樹林の混合林、その森を支配するアムールトラを始めとする貴重な生物が棲息し、自然の摂理に従ったかたちでツングース系のウデゲ人、ナナイ人が狩猟や漁業を営んでいます。
 ウデゲ人が舟を操って私たちを迎え、2人ずつ舟に乗ると、ロシアのアマゾンとも言われる迷路の如く枝分れし網目状を成すビキン川の、その蛇行した流れを南西に2時間かけて30キロばかりを下っていくのでした。雪解け水が薙倒した大木、剝き出しの泥炭層、川岸に立並ぶ白樺の木々、或いはカラマツの林、空を見上げれば地球上の空を独占したかとさえ思える果てしない広がり、人がちっぽけな存在に感じられる恍惚状態となって到着したのがウデゲ人集落クラスヌィ・ヤールです。ウデゲの女性が振舞うノロジカのボルシチ、マントィ、蜂蜜茶を味わい、シャーマンの血を継ぐ長老の女性、学校では魚の皮の工芸をする子供たち、ウデゲの踊り、マユミの弓…といった思い出を残してさらに村から舟で川を下ること1時間、目的地バハラザのキャンプ地とやって来ます。
 まさに「デルス・ウザラー」の世界に入り込んだ様に、生物学者イリヤさんの案内で森の中を歩き回る日々は忘れ難いものでした。チョウセン五葉松、トウヒ、モンゴリナラ、ヤチダモ、チョウセンゴミシ、マンシュウグルミ、猪のクシャミをするような合図が折々響き、飛翔するリスの素早さ、クマの足跡と木の穴の奥にはミツバチの巣、トラが樹木に印を付けた痕、タヌキ、アカシカの足跡、手当たり次第動植物のロシア名と和名を書き込んだ手製辞書が欠かせません。
 山小屋の主人ニコライさんのレノーク(コクチマス)のスープ、ハリウス(カワヒメマス)の唐揚げや燻製のご馳走、イチゴ味のウォッカ、夜を迎えるバヤンの音色、川辺の蒸風呂に入った後は裸のまま川に飛込む快感を余韻に寝付くのでした。

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