タリン
「タリン ~おとぎの国~」
エストニアの首都であるタリンは、バルト海東部のフィンランド湾に面する主要都市の一つであり、中世ハンザ都市の一つとして栄えた湾港都市でもある。
紀元前よりタリンには集落が存在していたが、13世紀にデンマーク王のバルデマー2世が十字軍を率いてタリンに侵攻。かつてエストニア人の砦があったト―ムペアと呼ばれる場所に城を築き、タリンを占領した。タリンはヨーロッパとロシアを結ぶ海上貿易の中継地であったため、バルト海沿岸の大都市にまで発展し、13世紀末にはハンザ同盟に加入した。
しかし、1346年それまでタリンを支配していたデンマークは財政難を理由に、バルト海東海岸地域の植民地をドイツ騎士団に売却。その後、タリンは1561年にスウェーデン領、1710年にはロシア領へと支配者が変わった。1918年にエストニアが独立するとタリンはその首都になったものの、第二次世界大戦が始まったばかりの1940年にソ連の軍事占領を受け、再び占領下に置かれる。
様々な国から支配され、常に独立の実現のために奮闘してきたが、1989年バルト三国のエストニア・ラトヴィア・リトアニアを跨ぐ675キロもの距離を、延べ200万人も超える人たちが手をつなぎ、歌を歌い独立への強い意志を国際社会に示した。これは「歌の革命」と呼ばれ、その後1991年にソ連崩壊に伴い完全独立を果たした。
タリンの旧市街は世界遺産に認定されており、欧州などでも最も保存状態の良い旧市街地の一つである。円錐形の塔と城壁に囲まれた旧市街地の楽しみは、石畳の小路をめぐり歩き、中世のおとぎの世界にタイムスリップしたような感覚に陥る面白さ。旧市庁舎の建つラエコヤ広場、聖カタリーナの小経、三人姉妹の建物、聖ニコラス教会、聖オレフ教会、聖霊教会、坂を上がれば旧市街を一望できる展望台、そしてアレクサンドルネフスキー大聖堂、ト―ムペアへと達する。
また、タリンでは1869年より5年ごとに開催されている合唱祭があり、2019年で150年目を迎えた。ユネスコの世界無形文化遺産にも指定されている。
観光スポット情報
トームペア城
TOOMPEA LOSS
観光ポイント
13世紀前半に建てられた騎士団の城。支配者が替わるたびに補強され、現在の姿になったのは18世紀後半です。当時のこの地の権力者はロシアの女帝エカテリーナ2世だった為、建物の雰囲気は帝政ロシアの宮殿風です。
ラコエヤ広場
AEKOJA PLATS
観光ポイント
旧市街の中心にある広場。デンマーク人に占領される以前から市場として存在していた広場で目の前に14世紀半ばに建てられた旧市庁舎があります。
聖ニコラス教会
NIGULISTE KIRIK
観光ポイント
13世紀前半にドイツ商人居住区の中心に建てられた教会です。当時のオリジナルの内装は残っていませんが展示品に貴重なものが多く、特に15世紀ベルント・ナトケによって描かれた「死のダンス」は必見です。
タリン旧市街
VANALINN 旧市街(世界遺産)
観光ポイント
中世ドイツ風の街並みが残るタリンの旧市街は、ヨーロッパでももっとも保存状態の良い旧市街地として知られています。かつては4kmほどあった城壁は約2.5kmが現存しており、26の見張り塔が建っています。トームペア城を中心とするタリン歴史地区は1997年に世界遺産に指定されています。